三体ⅠⅡⅢ 感想(3) 三体Ⅲ上 (死神永生)

三体Ⅲ上(死神永生)

プロローグ

コンスタンティヌスの寓話は諸行無常さと、
高次元からの干渉は魔法のように見えることを示唆している。
伏線ではあるのだけど、冒頭でいきなり出てくると面食らう。
そして楊冬が登場する。三体Ⅰで物理学に絶望して絶命したあの楊冬である。
部下はスーパーコンピューターのシミュレーションで、
地球のような惑星の環境は生物によって大きく変えうるが、
宇宙相手では生物の影響は無いも同然だと言っていたが、
母親と三体生命との秘密を知った楊冬にはそうは思えなかったと。
宇宙は生命体によって汚染されまくっている。物理学さえも。
そして美しさのかけらも存在しないと嘆き絶望して死を選んだのだ。

雲天明の安楽死

末期がんで治療の手が無くなった雲天明は、昔のよしみで友人から大金を受け取る。
この金の使い道を考えた結果、ちょうど星の権利を売り出すオークションが開かれていたので、
大学時代の初恋の人:程心に星を匿名でプレゼントしようと考えた。
月の土地の権利書のようなものだと馬鹿にされそうなもんだが、
地球から三百光年離れた恒星の権利を購入した。
リアル星のプレゼントなんてロマンチックという余韻もないまま、
雲天明は安楽死のコンピュータUIを自身で一つ一つ進めていく。
走馬灯が駆け抜ける中で程心へ執着していた人生が描かれる。
そして本当に安楽死を行うかの最後の質問に「はい」と答えた瞬間、
医師たちがなだれ込んで来て、安楽死が強制中止させられる。
その中心にいた人物こそが程心である。
なんだこの運命の出会い的な描写は。

階梯計画

階梯計画とは三体星人に人類のスパイを送り込もうという計画だ。
光速の1%というとてつもない速度が要求される無茶振りな案件。
これに程心が提案したのは、核爆弾による推進システム。
他のメンバーからは比推力って知ってるか?とバカにされるが、
地球から木星の軌道上に至るまで核爆弾を並べ、
機体が通過した瞬間に爆発させれば燃料は積まなくてよいという突飛なアイデアを出す。
なるほど、少しでも角度と爆発タイミングがずれたらお陀仏という完璧な作戦っスねー。
それでも乗せられるペイロードは小さくしないと仕様を満たさないことから、
冷凍した人間だけ送ろうとなり、最終的に脳だけを送ろうってことになる。
超技術を持つ三体星人なら冷凍された脳だけを減速機構を持たない探査機で送っても、
鹵獲していい感じにしてくれるに違いないという希望的観測。
程心は階梯計画の候補者に大学時代に変わっていた存在であった雲天明を推薦する。
星を贈られたことを知ると恋心のような熱い想いが湧き上がってきて、
安楽死なんかさせない。是が非でも彼を送らねばという感情に揺さぶられる。
どうせ助からない余命いくばくの命とはいえ、なかなかのサイコパスである。
三体星人に捕まったら人体実験で生き地獄を味わうかもと推測しているのにも関わらずだ。
1gのペイロードすらケチりたい状況で彼が好きだった野菜の種を一緒に入れようとする当たり歪んだ愛だ。
とにもかくにも三体Ⅲは程心が雲天明の脳を永遠の暗闇に送り込み、自らは冬眠するところから始まる。

第二部

<青銅時代>の帰還

<青銅時代>と<藍色空間>は水滴の攻撃からの脱出に成功した宇宙船の二集団の中の
バトルロイヤルで生き残った二機だ。
地球から帰っておいでよ。三体世界との和平は成立した。
懐疑的に思う船員に対して智子まで送ってきて地球では英雄扱いで全員に勲章を授与予定であることを見せる。
甘い蜜に誘われた<青銅時代>は帰還の途に就くが、到着後祝賀会の裏で全員拘束される。
人類お得意の掌返しによって水滴攻撃から生き残った英雄から反逆罪へと転落されられた。
<青銅時代>の船長は<藍色空間>に向けて地球はもはや故郷ではないと送信して、
<藍色空間>は再び深宇宙へ向けて加速する。
<藍色空間>は電波しか通信手段がないが、人類は逃亡を許すまじとする。
三体星人は水滴での破壊を提案したが、
人類は内政干渉を訴えて重力波送信装置を持った<万有引力>で追跡する。
三体側は水滴2機と智子を護衛名目の監視役で送る。
この時点で三体側は抑止の反故を虎視眈々と伺っていたのだ。
太陽系を遠く離れた地での人類逃亡者、人類追跡者、三体側の三つ巴が繰り広げられる。

抑止紀元の人類

羅輯の打ち立てた暗黒森林抑止によって人類と三体星人はひとまずの休戦に入った。
智子による物理学封鎖は解除され、三体科学が直々に人類に伝達される。
重力波送信装置、ニュートリノ通信の技術も確立し、ゆりかごシステムも重力波送信装置に置き換えられた。
そして重力波送信のスイッチを握る執権者となったのはもちろん羅輯。
三体世界からは人類の芸術作品を模倣した作品も送られ、
人類はつかの間の平和を楽しむ。

程心が冬眠から目覚めた世界では”男”性が消失していた。
全ての男性から旧来の男性らしさが消え失せ、全人類女性化していた。
これはおっさんが少女のVRになる現象をリアルにも拡張したような世界だろう。
全人類がかわいいおんにゃのこになった世界。
そして智子を擬人化したヴァーチャル、いやリアルアンドロイドアイドル<智子>は、
年老いた羅輯の後継者を程心にする策略で茶会に誘う。
わたしたち女性がこの世界を守っていかなければと<智子>は母性パラメータ上昇を謀ったのだ。
絶滅危惧種となったいかつい化石男性な格好の6名の男性と母なる人類の姿をした程心なら、
程心が次代の執権者に選ばれるだろうと。

抑止終了

老人に至るまで数十年の間、面壁者=執権者として鋭い眼光を光らせ、
いざというときはスイッチを押すぞという気迫は齢百を超えても衰えてはいない。
程心に権限を委譲した直後に、あなたは呪文で無実の世界を滅ぼした罪で訴えられてると
ドナドナされたのは流石に苦笑。
過去には矢面に立って功績を上げても後世では断罪を迫るっていう人類の通過儀礼にも飽きてきたか。
なお程心の執権者としての地位はわずか15分で終了した。

早速三体文明は抑止封鎖を狙って重力波送信装置に攻撃を仕掛けたのだ。
地球の周囲で人類に探知できない距離を開けて潜伏していた水滴群が重力波送信装置に迫る。
聖母マリアのような母性を持った程心には水滴の攻撃を検知してから着弾まで10分間のアラートの間に、
人類と三体世界を滅ぼす最終スイッチを押す決断を下すことができずに破壊を許してしまう。
太陽の増幅も封じられ抑止紀元は終了した。
甘い。甘すぎるよ程心は。愛じゃ地球は救えないんだよ。
もう一つ人類の有する長距離通信システムとして外宇宙で追跡している<万有引力>があるが、
これらの監視は智子ブラインドと呼ばれる、数光年ほど離れると量子もつれが途切れる現象によって、
地球(三体星人)とのリアルタイム通信は途絶えていた。
しかし同行していた水滴が自律AIによって権限委譲のタイミングで攻撃するよう仕組まれていた。
羅輯、あなたは手強かったが敗因は後継者がいなかったことだと勝ち誇った三体星人。

オーストラリア移住計画

日本刀に迷彩服姿の<智子>は全世界に向かって、今から四年後に三体文明が太陽系を征服するから、
人類にはオーストラリアと火星の1/3の地区が与えられるからそこに移動しろと宣言する。
現実を見ない人類に都市を水滴で攻撃させて、
さっさとオーストラリアに引っ越せゴミ虫めが、にぱー☆と言ったかはわからないけど、
慈愛なる三体文明が人類の殲滅は回避してやったんだから感謝しなさいよね、という体で。
引っ越し作業での三体文明の行動というか人類の扱いが上手い。
地球治安軍を募集してオーストラリアに移住せずに暮らせる権限を与えて(本当に与えるかは不明)
人類の引っ越しが滞りなく行われるよう監視せよと命じたのだ。
地球治安軍の応募に殺到する人類ではあったが、数少ない当選者は全員から後ろ指を指された。
そして地球治安軍に抗おうとするレジスタンスとか結集の「け」の字すら見えない分断。

クック船長がオーストラリアを発見したときは、
この広大な大陸に全人類が集結するなど夢にも思わないだろう。
ここから地獄のオーストラリアの描写が始まる。
移民に三体世界を抑止できなかった能無しと迫害される程心。
これは事実だから仕方ない。
五世紀前にこの大陸に上陸した文明人たちも森の中でアボリジニたちを撃った。
人類は当時のアボリジニのようなものだと悲愴感漂う。

人口過密と食料不足によって配給制となるが、配給に群がる人民を見て<智子>は
「整列!」と唱えるが飢えた群衆は介さない。
すると「このクズどもが、なぜ命令に従わない」と、とある業界ではご褒美のような言葉を投げかけ、
付帯する日本刀で数十人の愚民をスライスする。最も臓物と血液が飛び散る切断で。
「人類の堕落した自由の次代は終わった。生き残りたければ集団秩序を守れ」
完全にアニメの超能力ヒロイン系のそれです。

こんな世界でもオールトの雲に達した三体艦隊の出す減速光を見て、
あぁ偉大なる三体艦隊が到着すれば超科学で食糧問題も解決すると本気で信じる人類。
だが<智子>は地球治安軍にオーストラリアの電力施設を破壊させ、現代技術の使用を禁ずる。
人類皆殺しではないか。食糧はどうなるという質問に<智子>は、
食料なら目の前にたくさんあるという無慈悲な回答。
みなさんが食べ物を食べることを祈っています。食べ物に食べられるのではなく。
阿鼻叫喚の中で程心はストレスとショックで視力を失う。
これが程心の行動が招いた結果だと見せつけるように。もう見えないけど。

羅輯退役からの人類敗北の流れは、
三体星人に謎だった人類の心理の部分が攻略されたからだろうな。
抑止紀元後に三体文明は人類と変わらぬ芸術作品を地球に送っていたのも、
地球人の油断を誘うのと同時に心を読み取る検証だったのだと。

<藍色空間>と<万有引力>

まず状況を確認しておこう。
<藍色空間>は逃亡船、<万有引力>は重力波送信装置を有した船で十分な燃料を有している。
しかも智子による情報暴露によって<藍色空間>の内部は筒抜け。
おまけに人類では太刀打ちできない水滴という兵器も同伴している。
水滴が<藍色空間>を断罪すれば早いのだが、それに難色を示した人類の折衷案だ。
<藍色空間>は50年ほどで追いつかれ、地球に連れ戻される。
そして重力波送信装置の寿命は50年で、
宇宙では修復できないという抑止を行使できるタイムリミットの設定。
重力波送信装置を搭載した宇宙船が<万有引力>だけな理由として、
高コストなため複数建造できる予算もないし、
仮に反乱など起こされたら人類自身にとっても驚異になることを恐れたとある。
つまりは三体文明が融和したと見せかけて軍縮に誘導されたということだ。

智子ブラインドという概念についても。
三体星系から四方八方に放った智子は数光年進むと量子もつれが解けた。
方向によって量子もつれが解けるまでの距離は異なっており、
人為的な介入にせよ、自然現象にせよ、
リアルタイムに情報をやり取りできるのはほんの数光年の距離ということになる。
宇宙を見通すのに光速の30万km/hはあまりにも遅い。
<藍色空間>を監視する智子も地球から1.3光年で智子ブラインドに入った。
つまり通信は片道で地球とは1.3年、三体星系とも3年程度の時間がかかることになる。
これは地球で何かあった、もしくは<万有引力>に何かあったとしても伝わるのにタイムラグがある。
三体星人はそれも見越して時間が来たら二機の船を攻撃するよう内蔵AIに仕込んでいたのだ。

ほどなく<万有引力>にて奇妙な現象が観測される。
<藍色空間>の将校らしき人物が敬礼しているのを艦内で見た。
寝ぼけてるのではないかと思うだろう。
艦内の奥深くで微小隕石による高速衝突痕でパイプが破損したが、周囲の部屋には傷一つないという事件。
夜這いしようとしたカップルが部屋が閉まっているのに穴が空いていて入れたり、
彼女や家具の断面が覗けるようになっていたり。
このあたりで感のいい人だと高次元からの攻撃か何かかと思うのだが、
発見した士官は低位だったので精神異常で冬眠させられることを恐れて報告しなかった。
報連相の重要性を認識させられる。

知的好奇心溢れるイケメンサイエンティストのイメージが漂う関一帆。
宇宙の160億光年に対して光速の30万km/hは遅すぎる。カタツムリだ。
宇宙が一人の人間なら神経信号は全身をカバーできない。
宇宙はただの膨張する死体という面白い表現をする。
光速の30万km/hの3と3次元の3の一致は偶然だろうが、
十の空間の次元と時間の十一次元があるのに
3次元以外がミクロに折りたたまれているのは何故だろうと疑問を呈する。
この根本原因に生命体があるというのは後にわかることとなる。

噛ませ役のハンターの存在も忘れてはならない。
ハンターとは指揮系統が喪失する危機時に重力波送信装置を破壊するという
極秘の任を賜った船員だ。
三体文明側からすると笑っちゃう役職だが、
人類サイドとしては万有引力が謀反を起こしたときの保険要因であった。
昔のスパイ映画のような古風な感覚だ。

そして地球での攻撃時刻に合わせて水滴からの攻撃が実行された。
だが水滴はわずかに針路を逸らされて無効化された。
ハンターの起爆スイッチも作動しなかった。
なぜか船内にいる<藍色空間>の将校とバトルしたら心臓を抉られた。
これらはいずれも<藍色空間>乗員による四次元方向からの攻撃と考えられ、
さしもの三体星人も予期していなかった出来事であった。
冒頭の寓話のように四次元からの攻撃では三次元の表層に触れることなく内部を触れる。
動くな、お前たちの心臓は手の中にあるぞ(物理的に)という具合で掌握された。

すぐさま三体文明からの攻撃と断定し、
重力波送信装置の寿命が切れる前に報復を賛成多数で可決するのは強い。
女体化で決断力が弱った地球とは違うのだよ。
ただここは三体文明の攻撃時刻を<万有引力>の重力波送信装置の期限後に決行すれば、
とは思った。執権者の譲位直後でないと程心も覚悟が付いてスイッチを押されることを懸念したとしておこう。
そういえば執権者が1人なら就寝中はどうなるんだろう。寝込みを襲われたときの対策はあるんだろうか。

事後に関一帆と共に高次元時空の物理を調査しようとした<万有引力>の艦長が、
モロヴィッチという地殻とマントルの不連続面みたいな名前だった。
四次元空間の中に人工的なリングを発見した関一帆は自ら有人艇で探査に向かうと提言する。
このあたり生粋の科学者臭がして好き。
数学は宇宙共通言語ということで素数のメッセージを送るのはなるほどとなったが、
即座に返答がきたのは驚きだ。
人類に関するデータベースをニュートリノで送るとカウントダウンがしばらくしてアラビア数字になるのは、
驚きを通り越して恐怖を感じた。その後の四次元宇宙船の墓との対話によると、
他の四次元生命体による三次元化攻撃を受けて潮だまりの四次元空間に閉じ込められた。
さらに潮だまりの四次元空間はやがて三次元空間に落ちたときに展開されて消え失せることを示唆していた。
<藍色空間>と<万有引力>は一部の船員を方舟に乗せて太陽系に飛ばし、
それぞれ別の恒星間空間へと人類の種を乗せて飛び立った。
このときはまだ人類に同じ厄災が降り注ぐなんて考えてもいなかった。

三体艦隊の撤退

三体世界が重力波送信を受信して三体星人による太陽系征服は終わりを告げた。
大歓声を挙げオーストラリアからの帰還をはかる人類。
程心に対しては「あなたがやるべき仕事をかわりにやってくれたんですから」良かったねと。
これは一応勝利というか一矢報いたということでいいのかな。
三体星人にゴミ屑のように滅ぼされる未来を回避できたのだから。
地球治安軍が投獄され、レジスタンスが称賛される。
ハイハイもう飽きたとばかりの人類の掌返しの処罰。

だが、舌の根も乾かぬうち三体星系が破壊される。
<万有引力>から重力波が送信され、「地球で受信するまで1.3年+そこから6年あまり」と
「何者かが受信して三体星系を破壊するまで3.8年+破壊の光が地球に届くまで4年あまり」
が同じ時間になる。<万有引力>と三体星系との距離が3光年ほどだから早くね?ってことになる。
攻撃方法は前回と同じく光粒による主星の破壊。
<智子>は智子によって4年前にこの厄災を知っていたが、
地球での観測をもって実質の敗北宣言をした。
全人口の99.9%以上が一瞬で蒸発したとはいえ、中の人の震える声に同情はできないわな。
オーストラリア監獄作戦の後では、呉越同舟とはいえ互いに手を取り合う仲ではなくなっている。

茶の湯会談

羅輯・程心・<智子>による三者会談。以前程心が茶を招かれた因縁の空中庭園だ。
<智子>が点てる抹茶の格式高い描写はツボに入るけど、
日本文化が三体星人が好む美意識だったということでいいのかな。

<智子>によると、遠距離から見たときに三体星系の方が太陽系よりも危険だという。
その理由は教えてはくれなかったが、後の話を参考にすると、
三体の第二艦隊が太陽系に向かって光速航行ドライブを使用痕が危険判定されるからだろう。
続けて人類には暗黒森林攻撃を生き延びる術はないと断言する<智子>だが、
これは三体星人には光粒以上の暗黒森林攻撃が既知であるかのようだ。
そして人類より遥かに進んだ三体文明ですら光粒一つ防御できない脆さであるということも。
<智子>は羅輯のことは尊敬しているせいか、どんな質問でも1つだけ三体文明に不利なことでも
「はい」「いいえ」「わからない」の三択で答えてくれるという。
別れ際にようやく見せた人類への尊敬の眼差し、でももう遅い。
最後に<智子>から得られた情報は、他の文明に自分たちは無害であることを示し、
暗黒森林攻撃を回避することは可能であるとのこと。
でも人類はその技術があったとしても実行する決断はできないだろうなと。

心の支えを失って荒野に放り出されたかのような人類は救世主を求め始めた。
手に入りもしない安全通知に追いすがって迷走する様は人類らしいな。
抑止に失敗した程心の母性を神格化し始めるのは勝手なものである。
そこに舞い込んだのが<智子>からの最後の別れとして雲天明に会ってほしいとのこと。
救世主は現れた!?

雲天明との会談

雲天明?もうすっかり忘れていたよ。冷凍脳だけ宇宙の果てに飛ばされた人。生かしてくれたんだね。
三体星人が望んだのは地球と太陽のラグランジュポイントで程心と二人だけの会談。
通信・録画は禁止され、技術・軍事・政治的な話もアウトで破ると水爆で自爆。
何もない宇宙空間に智子が展開したスクリーンを通じて愛する雲天明と、
何光年か先の三体艦隊に向けて量子通信で繋がる。三体屈指のロマンチックな情景美。
脳だけでなく人体のボディが与えられたとみられる雲天明は農夫のおじさんのような風貌だろうか。
あんたの贈った種を育てたぜ、程心の全てを見てた、抑止に失敗したときのこともな、と語りだす。
雲天明も会談の条件については知っているから慎重に会談というか昔の積もる話を進めていく。
君の作ったおとぎ話が三体世界で大ヒットで童心に帰っておとぎ話をしようといって意味深に語る。
そして去り際に智子のセリフを綴る。
「宇宙は大きい。でも、生命はもっと大きい。縁があれば、この先きっとまた会えるでしょう」
三体文明の検閲を無事通った程心は宇宙ステーションに帰還し、
人類が新開発した智子遮蔽室なるもので会談の内容を供述させられる。
三体Ⅲ下はその解読から入る。

喧嘩別れのようになってしまった、人類と三体文明の未来は如何に。
長くなったので三体Ⅲ下へ続く