科学史 (3) 中世 アラビアの科学

ギリシャのアカデメイアなどの学園が閉鎖され、
この頃の科学の中心は中東アラビアに移っていった。
ヨーロッパの科学は12世紀頃のペスト流行が収まり、
ルネッサンスと呼ばれる時期に至るまで衰退していった。
錬金術が隆盛となり、薬品の発見や実験器具の発展が起こった。

黒色火薬の発明

硝酸カリウム、硫黄、木炭を混ぜたもの。
中国では7世紀ごろに知られていた。
火薬として使われたのは11世紀ごろとされる。
19世紀ごろまで武器の原材料として広く使われる。

アル=フワーリズミー

  • アルゴリズムの語源。
  • アラビア数字の普及。
  • インドの0の概念を取り入れた10進記述法。
  • 二次方程式の解法。

イブン・アル・ハイサム

光学の研究。光の反射や屈折について実験を通じて考察した。
視覚は眼に入った光が屈折することによって得られるとした。

ウィルソンの定理

\( \displaystyle pが素数 \Leftrightarrow (p-1)! \equiv -1 \ (\!\!\!\!\mod\!p) \)

かに星雲超新星 1054

かに星雲のパルサーを生むこととなる超新星が観測される。

中国で航海に羅針儀を使用する 1110

磁力を持った針を水に浮かべるとほぼ北を示すことを利用したもの。
星空以外に目標のない海上での位置を知る手段として重要な役割を果たす。
揺れる船の上でいかに針を安定させるかの技術が発展していく。

フィボナッチ 1200頃

  • 中国人が考案した「0」の記号をヨーロッパに紹介

フィボナッチ数

\( F_0=0, F_1=1, F_{n+2}=F_{n+1}+F_n  \)
\( 0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233, 377, 610, \cdots \)
\( F_n=\frac{1}{\sqrt{5}}\{ (\frac{1+\sqrt{5}}{2})^n – (\frac{1-\sqrt{5}}{2})^n \} \)

眼鏡が普及し始める 1300頃

オッカムの剃刀 1330

同じ物事の説明が複数存在するとは最も仮定が少なく単純なものを採用するのがよい。

錬金術

  • 蒸留:沸点の異なる物質を分離することができる。
  • 乾留:空気を断って加熱することで、揮発性物質を取り出す。
  • 硫酸や硝酸は鉱石の乾留によって得られた。
  • 塩酸は塩化ナトリウムに硫酸を加えることで得られた。
  • 金を溶かす液体である王水(濃塩酸3:濃硝酸1)の発見。
    \( {\rm Au} + {\rm NOCl} + {\rm Cl_2} + {\rm HCl} \longrightarrow {\rm H[AuCl_4]} + {\rm NO} \)

エチオピアで野生のコーヒーが飲用にされる 1400頃

グーテンベルクの活版印刷 1440

活版印刷によって論文の複製コストが下がり、広く流布されるようになった。